取引先に対する仕入代金(買掛金)の支払準備をしていましたところ、裁判所から、この仕入代金債権を差し押さえる旨の債権差押命令が送られてきました。どのように対処したらよいですか。
1.取引先に対する支払いをとめる
ご質問の場合、取引先に対する債権者(「差押債権者」といいます。)が、債権回収のために、取引先のあなたに対する代金債権を差し押さえたものと考えられます。
債権差押命令は、取引先(「債務者」といいます。)に対しては債権の取立てその他の処分を禁じ、あなた(「第三債務者」といいます。)に対しては債務者(取引先)への弁済の禁止を命ずるものです。
この効力は、差押命令が第三債務者であるあなたに送られたときに生じますので、あなたは、仕入代金を取引先に支払うことができなくなります。
誤ってこれを支払っても、その支払いを差押債権者に対して主張することはできませんので、後に差押債権者からの請求があれば、その支払いに応じざるを得ません(二重払いすることになります。)。
2.陳述書を提出する
通常、第三債務者(あなた)には、差押命令とともに「第三債務者に対する陳述の催告書」という書類が送られてきます。
この催告を受けた第三債務者は、差押債権の存否等催告の事項に関し、回答する義務を負い、回答しなかったり虚偽の回答をしたりすると、差押債権者に対して損害賠償責任を負うことがあります。
記載事項を記入した陳述書を、差押命令を受けた日から2週間以内に裁判所に提出します。
3.差押債権者に対する支払いなど
差押命令が債務者(取引先)に送達されてから1週間が経過すると、差押債権者は、直接第三債務者であるあなたから差押債権を取り立てることができます。
実際に取立に応じるか否かは事案によりますが、あなたが差押命令を受ける前から取引先に対して反対債権を有していて、反対債権による相殺が認められる場合などは取立に応じる必要はありません。
また、そのような事情がなくとも供託をすることはできます。