私は、事業を営んでいますが、売掛金をなかなか支払わない取引先があります。「(取引先の)債権を差し押さえる」ということを聞いたことがありますが、債権の差押えとはどのようなものですか。

債権の差押えというのは、強制執行の一パターンです。

強制執行とは裁判所などの国家機関が、たとえ債務者の意思に反しても強制的に権利の実現を図る手続です。

債権の差押えは、この強制執行のうち執行の対象が債権の場合のことで、これを債権執行といいます。

売掛債権の回収などの金銭執行の場合、債権執行を選択することは、費用、手続の簡便さから、不動産執行など他の手続を選択するよりも有利と言えます。

債権執行の例としては、預金債権、売掛債権、給料債権、賃料債権などの差押えがあげられます。

債権執行の具体的な手続は、訴訟、支払督促などの手続により「債務名義」(民事執行法22条)と言われる文書を取得した上で、原則として債務者の所在地を管轄する地方裁判所(民事執行法144条)に対して申立てをして、裁判所から債権差押命令を取得します。

この債権差押命令により、債務者(取引先)に対しては債権の取立てその他の処分が、第三債務者(取引先の債務者)に対しては債務者への弁済がそれぞれ禁止されます。

この差押えの効力は差押命令正本が第三債務者に送達されたときに生じます。

そして、差押命令が債務者に送達されてから1週間が経過すると、債権者は、直接、第三債務者から支払を受けることができます(これを「取立権」といい、直接第三債務者から回収することになります)。

ただ、債権執行を申し立てるには、第三債務者を住所、氏名により特定した上で、差し押さえる債権の種類、発生原因の特定が必要になりますので、差し押さえて欲しい債務者の債権は、債権者自らで発見しなければなりません。

差押命令にもかかわらず第三債務者が支払に応じてくれないこともありますが、その多くは差押命令の意味を良く理解できていないことによるものなので、差押命令により受領権限があることの説明をして説得に努めます。第三債務者とすれば、誰かには支払わなければならないものなので、多くの場合は、この説得により支払ってもらえます。